タイトル | あとがき |
アリスの家 | 文芸同人誌掲載最後の作品。この作品の合評会を最後に、同人誌を退会しました。 同人誌掲載は5作目だったので、合評会でボロクソにけなされても結構平気でいられました。 アリスの家は、私が子供の頃住んでいた東京郊外の土地がベースになっています。 当時は神戸にあるみたいな洋館て少なかったんですよね。 私の持論として、10歳前後の体験がその後のキャラクターを決めるという気がしてるので。 子供の頃って、自分の周りの数人の人がこの世のすべてみたいな気がするのですよね。 その数人に嫌われたら生きていけない・・・ってぐらいに。 で、自分と同じ匂いのする子と異常なぐらい親密になることで、その不安を消そうとする。 もちろん、それは本当の友情ではなく、些細なことで壊れてしまいます。 でも、壊れてしまったのか、自覚のないままに自ら壊してしまったのか・・・それは誰にもわか りません。今ではもう、過ぎた日の思い出でしかないのですから。 参考)文学界同人誌評選抜 |
窓辺の花 | 合評会ではボロクソに貶す派とめちゃくちゃ褒めてくれる派と二分した作品。 褒めてくれた方々は、もちろん若手。おば様方はボロクソでした。 まあ、読んでいただけばどうしてボロクソに言われたか、わかる気はすると思いますが。 私は、書き手というのは主人公に対して冷酷になれないと、小説なんて書けないと思っている ので。 30歳でいまだ独身の香苗さんは周囲の人間に振り回されて苦しみますが、最後は自分の意志 で立ち直ろうとします。窓辺に飾った鉢植えの花のように。 |
白衣の天使 | これまた合評会ではボロクソに貶された作品。私って貶されないことなかったみたいだ・・・。 でも、やっぱり若手の既婚者には好評でした!「そうよ、そうよ、そうなのよ!」って(笑) 夫婦って、結構どこもこんな感じなのではないかと。 シリアスなテーマでも、どこかお笑いっぽくなってしまう私の作品。 だって現実の世の中は、あまりに辛くて悲しい出来事が溢れてるから、せめて想像の世界ぐら いは軽やかにいきたいじゃないですか。 でも、本当はその軽やかな表面の奥底に、深くてこわ〜いものが隠されているんですよね。 参考)海燕同人誌評選抜 |
花型ちらし | とある新聞の投稿欄に掲載された話に共感するものを感じて出来上がった作品。 姉弟の設定は、ほぼ実話です。家庭を顧みない父親って話はよくあるけど、母親だって同じ。 現実の世界では、母性なんてそんなに信用できるものじゃないって気がしてるので。 母親ではなく、母性を・・・ですよ。 そこをどう乗り越えるかが、子供の真の自立につながるのはないでしょうか。 ぐれるのも拗ねるのも、結局は甘え。甘える相手がいなければ、自分の足で立つしかないのよ。 ああ、ちょっと語りすぎました・・・。 参考)文学界同人誌評選抜 |
記念すべき、文芸同人誌第1回掲載作品。 私の叩かれ人生は、ここから始まったのでした。 嫌われ松子の人生ではなく、叩かれ卯月の半生・・・って? そりゃまあ、ジュンブンに生きるか死ぬかの苦悩や落ち込みを期待している方々には、叩きたく なるような代物かもしれませんが、かといって私も自分の書きたいものしか書けないし。 でも、主人公の気持ちは、年頃の女の子なら誰もが持っているものなのではないかと。 参考)文学界・海燕同人誌評選抜 |
|
日溜りの庭 | マンスフィールドの「園遊会」みたいな小説が書きたいと思って出来上がった作品。 イメージはやはり子供の頃住んでいた東京郊外の友人宅。 とってもお庭が広くって、本当に園遊会が開けそうな感じでした。 その一見幸せそうな庭で繰り広げられる大人たちの世界を、地方から出てきた18歳の主人公 の視点で書いています。 大人になりかけの少女ほど、残酷で自分勝手なイキモノはいません。 その子が純粋であればあるほど・・・。 でも、その残酷さの代償は、きっちり自分に跳ね返ってくるのです・・・。 参考)文学賞応募済作品→あっさり没・・・ |
青い線 | 友人の体験から出来上がった作品。 仕事もプライベートも充実しているはずの既婚女性。でも何かが足りないと思っている。 そう、夫婦はいつまでたっても夫婦でしかなく、家族ではない。 それはそれで幸せなのだけど、どこか埋められない淋しさみたいなものがあって、その気持ちを 誰とも共有できない苦しみがあります。 「人間は一人で生まれて一人で死んでいくもの。元来淋しいものなのよ。自分以外の人もその淋 しさを持っているということに気づいて、それを思いやる心を持つことが人間のやさしさなんだ」と 仰ったのは瀬戸内寂聴さんでした。 そう、それができれば淋しさやむなしさで苦しむことはないのでしょうね。 しかし・・・、凡人には不可能に近いです(;;) 参考)文学賞応募済作品→最終選考まで残るも落選 |